平手友梨奈が「HYBE JAPAN」に移籍をする。BTSを擁するプロダクションの日本支部だ。
また、平手友梨奈の表現を見られるのは楽しみで仕方ない。
もともと在籍していた欅坂46では「サイレントマジョリティー」「不協和音」のヒットもあって、欅坂は反逆のアイドルグループとして名を上げた。
絶対的センターである平手友梨奈は反逆の旗手として期待の目を向けられた。それに応えるように平手の顔からは笑顔が消え、目つきも鋭くなっていった。
これは矛盾を引き起こしている。秋元康の願いと周りの期待に応えて反逆を行えば行うほど、己の態度としては従順となっていくのだ。
AKB48のような同じ衣装を着て踊るマニファクチャード・ガール・グループ(manufactured girl group)として生まれながらも、自らに対し「似たような服を着て」と自己否定論を投げかけることにより、自我に目覚め、自分たちの現状に一石を投じるような、学生運動を思わせる内容になっている。秋元康によれば、一見すると彼女たちの立場は矛盾を抱えているように見えるが、そこには良心の叫びがあり、そのような叫びを出発点とする彼女たちが、これからどのような道を切り開いて行くのか、期待を込めて作詞した。
このwikipediaの記事を真に受けるならば、秋元康も矛盾を把握していたようだが、楽観的で、他人事のような無責任さを感じてしまう。自己矛盾が何を生み出すか、想像することもせず。
カート・コバーンを苦しめたのは商業的大ヒットのせいで、自らの音楽が虐げられた者たちのためのものから大衆によって吸収され消費物と化し、自らが強者の側となってしまったことだった。
自己矛盾は誠実に生きたいと願う者をひたすらに苦しめる。
いたずらに強要するものでは決してない。
しかし、平手友梨奈は気高く、強い。
苦難を乗り越え、また表現の場へ舞い戻ってきた。
平手友梨奈の行く末に幸あれ。