供養

〇〇さん、〇〇さんご結婚おめでとうございます。

僕と〇〇は高校時代からの仲で、同じ大学に進学し、そしてふたりとも7回生まで大学に在籍していた、いわば生き写しのような関係です。

 

僕たちの大学時代というのは実は苦しいものでした。学費を払ってもらっている親への申し訳なさ、それでも学業を頑張れない自分の不甲斐なさ、いたずらに時間を浪費しているという焦り、人生の目的が見えず、ただただ彷徨うだけ。僕が抱えていた悩みと同じ悩みを○○も抱えていて、そこでも意気投合をしていました。僕たちはお酒でみじめさを打ち消し、お互い傷をなめ合いながら、なんとか存在を保っていたと思います。

 

そんな苦しい時代に、○○のそばにいてくれたのが○○さんでした。○○が折れそうなときに発破をかけてくれたおかげで、○○はなんとか単位を取り終え、就職を果たし、僕より一足早く自立した人生を歩み始めました。僕にはそんな○○が輝いて見え、そんな○○を支えてくれた○○さんには感謝してもしきれません。

 

僕にとって○○はかけがえのない存在で、そんな○○を伴侶に選んだ○○さんは慧眼の持ち主だと思っています。僕たちが苦しい時代を思い出すたびに○○さんへの感謝もまた湧きあがります。あなたは○○にとって唯一無二の存在であり、僕にとってもそれは同じです。これからも○○と共にいてやってください。それでは、末永くお幸せに!

 

 

と、友人代表としてスピーチを頼まれていたが、めでたく離婚をしたためこのスピーチは宙に浮くことになった。供養の意味をこめて、ここに載せておく。

 

 

この二人はというと、離婚した後も会っているのだそうだ。

これは俺が助言したことでもある。

彼女は友人にとって糟糠の人物であり、やはり特別なのだ。

そんな人物と離別してしまうのはさらに大きな傷を残すことだろう。

俺は彼女に対して怒りを覚えるが、一方で許してさえもいる。

 

 

苦しい時代を知っている女というのは特別なんだ。